淑女 仲合、同盟会話
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仲合物語
幽谷の麗人
私は彼女に心の中では感謝し、
礼を言いたいと思っているが、きっかけが見つからない。
この日、一人で山奥に向かい歩き始めた彼女を見かけ、私はこっそり彼女の後を追った。彼女は緑豊かな竹林に入っていく。
すると、いきなり彼女は足を止め振り向いた。
淑女:誰かしら?
無剣:姉君、驚かないで!私です!
淑女:無剣、あなたなのですね。
淑女:こんなことをしてはダメよ。
魍魎だと思って斬りつけてしまったら、命を落としてしまう。それは良くないわ。
無剣:はい、姉君の言うとおりです。
淑女:それにしても、わたくしをここまで追うなんて、何があったの?
無剣:誤解しないでください!
いつもお世話になってばかりだから、きちんとお礼を言いたくて。
私がそう言うのを聞いて、ようやく警戒心が解けたのか、彼女は微笑みながら向かって来る。
淑女:お礼を言われるほど大したことはしてないわ。
逆に、あなたたちが来てくださったお陰で楽しくなりましたから、こちらこそお礼を申し上げたいぐらい。
無剣:せっかくの 機会ですから、どこかお酒が飲めるところを探して、これまでのことを互いに労うというのはいかがですか?
淑女:わたくしも賛成ですわ!
この先がちょうど水仙山荘ですから、
そこでお話をして少し休憩を取りましょう。
無剣:はい!ぜひお願いします!
淑女:あなたみたいな爽やかな人と付き合いたいですわ。
淑女:「姉君」とは呼ばれなれていないので、谷の人たちが呼ぶように、わたくしを「お姉さん」と呼んでもらえませんかしら。
無剣:もし姉君がそれでよろしければ…
淑女:え?なんですって?
無剣:彼女が眉を吊り上げかけたのを見て、私は慌てて言葉を変えた。
無剣:いえ、お姉さんがそれで良いのなら…
淑女:物わかりのいい子ね!
お姉さんは私の頭を優しく撫でながら、にっこり微笑む。
心の中が暖かくなってくる。思わず顔が熱くなる。
私たちは並んで竹林の奥へ進んでいく。道端の花から淡い香りが立ち込め、幸せな気分にしてくれる。
しばらくすると、目の前にどこまでも続く満開の水仙の花々が現れる。
山荘の小酌
淑女:無剣、着いたようね。
無剣:ここが、水仙山荘…
淑女:ここの景色、素敵だわ~!
お酒をいただくのにぴったりな場所だわ!
無剣:ええ、そうですね!
自分の想像した景色とは若干違ったが、
絶情谷出身のお姉さん独特の美だと納得する。違って当然なのだ。
淑女:美景に美酒。まさに人生の喜びというものね!
酒が進むにつれ、シュクお姉さんの顔がすっかり赤くなり、言葉数も多くなっていった。私はふと、あることを思い出していた。
無剣:そうだ、お姉さん。絶情谷ではお酒を飲むことも肉を食べることも許されないと聞いたのですが…
淑女:ああ、わたくしは身体の中を鍛えたいわけじゃないですからね。彼らと同じことをしなくてもいいのよ。
わたくしが酒好きということは、谷の人なら誰でも知っていますよ。
淑女:酒の飲み比べでこのわたくしに勝てる方なんておりませんわ!
無剣:そうですか…それはいいですね。
淑女:気にしなくていいの。言ってみれば、この水仙山荘もわたくしのお気に入りの場所ですからね。
淑女:ここで毎日花見したり、鳥の歌声を聴いたり!悩み事をぜーんぶ忘れるんだ!
その仰り方、お姉さんにも悩み事があるのですか?
淑女:さすがに悩み事くらいはあるわよ。
無剣:悩みがあるのなら、聞かせてもらってもいいですか?
私が力になれるかもしれない。
お姉さんは酒壺を持ち上げ、自分の杯に酒を注ぐと一気に飲み干した。
淑女:無剣、その気持ちだけいただくわね。
わたくしの悩みは、あなたにはどうしようも出来ないことなの。
淑女:情花が咲き誇る絶情谷は美しい。
しかし情花は美しくても口にすることは出来ない。
だとしたら何の意味があるというの?
淑女:おまけに谷は禁酒。
せっかく飲みたい気分になっても、付き合ってくれる人が一人もいない!つまらないわ!
淑女:大体、いつも同じ顔ばかり周りにウロウロしていたら、
いくら綺麗な風景でも、飽きてしまうものでしょ?
淑女:そしてあの耐えられない雰囲気…あっ!
そこまで一気に話し続けたお姉さんだったが、
何かを思い出したのか、突然口を閉ざした。
無剣:お姉さん、どうかされましたか?
淑女:ちょっと飲みすぎて言い過ぎてしまったようね。
酔っているの。さっきの話は冗談よ、忘れてちょうだい。
無剣:…………………………
無剣:ええ、私も飲み過ぎて、何を話していたのかあまり覚えていません。
今日はここまででお開きにいたしましょう。
淑女:今日は本当に楽しかった。
こんな風に飲んだりお喋りをするのは本当に久しぶり!
無剣:お姉さんが私と居て楽しいのならば、いつでもお付き合いしますよ。
淑女:ほんと?約束ね!
荷物をまとめ、私たちは帰路に着いた。
でも、なんだかさっきお姉さんは…
気のせいかもしれないけれど。
佳人の悩み
遠くから誰かがこちらに近づいてくる姿が目に入る。
淑女:無剣、ここにいたのですね。探しましたよ。
無剣:お姉さんが私を探しに?
まさか…またお酒を飲もうということですか?
淑女:わたくしの心持ちをすぐに分かってくれるのね。
淑女:とても出来の良い女児紅がちょうど手に入ったの。いっしょにお付き合いしていただけないかしら?
無剣:はい、ではお言葉に甘えさせていただきます!
私たちはまたお姉さんのお気に入りの水仙山荘まで来た。
この咲き誇る水仙の花の中に立っている石作を見てみると確かに別の美が感じられる。
無剣:口に入ると尽きない芳醇な味と香りが感じる、これは珍しい美酒だね!
淑女:酒に付き合ってくれる人はいないし、一人で飲むのもとても寂しい。
だからこの酒は長年秘蔵してきて一度も開けたことがありません。
淑女:今あなたがいて本当に良かったですわ!
無剣:いつもお姉さんにご馳走してもらい、本当にありがたいです。
私も一つ面白いものをお姉さんにお渡しします。
私は崑崙山の山脚で手に入れた羊脂玉佩を取り出し、お姉さんに差し出す。
お姉さんはゆっくりと鑑賞すし、片時も手放さない。
淑女:これは何かしら、何かに使えると良いけど…
無剣:珍しい物とは言えません、ただの玉佩だけでず。
ただこれは西域の羊脂を彫刻してできた、なかなか手に入らない原料ですよ。
お姉さんは興味深く玉佩を見ている、急に眉をひそめて、ため息をついた。
淑女:は――……
無剣:お姉さん、どうしたんですか?
淑女:この羊脂玉佩を見て、思わず考え事を思い出した。
無剣:もしなにかあったら、遠慮せず私と相談してください。
淑女:君ちゃんとずっと絶情谷にいるのもいいんだけど、やっぱり外の世界も見てみたいですわね……
無剣:それは難しい事ではないです!
数日後私たちは絶情谷を出て出発する、
その時お姉さんは私たちと一緒に行きましょう。
淑女:ええ?もう行っちゃうの?
無剣:うん…私はまだ用事がありますので、ここで長居することはできません。
淑女:はー…無剣、あなたが行ってしまえば、わたくしと共に酒を味わってくれる人も無くなる。
無剣:お姉さん、私たちと一緒に行こう…
淑女:うーん、迷っちゃう…
わたくしは外に出た事がありません、こんな早合点して出たら、わたくし…
無剣:お姉さん…
お姉さんが再び話してくれなかった、ただひたすら女児紅を飲み続けている。
彼女の様子を見て、私も思わず離れ離れになってしまうことに寂しさを感じた。
私たちは黙黙と酒を対酌して、誰も口を開かなかった。
女中の豪傑
前回水仙山荘で一緒に酒を飲んだ後、お姉さんは姿を一度も見せなかった。
無剣:は――……
我慢できずため息をついた途端、一声笑い声が耳に聞こえてきた。
淑女:あなたがひどく思い詰めた様子は本当に見てて耐えられないわ。
無剣:お姉さん?
淑女:ええ…無剣、あなたと離れる前に、
もう一度会いたい、話したい。
無剣:お姉さん…私…
淑女:もう、そんな顔しないで。
あなたと話したいことはいっぱいあるの
でも時間がないし、重要な事だけが話しますわ。
淑女:あなたがここにいた日々はとっても楽しかったですわ。
淑女:谷の人たちは修練しか知らない、
わたくしと花を見て酒を飲んだりお喋りをすることが出来る人もほぼいません。
君ちゃんでさえも…
お姉さんは言いながら、頭を振った。
無剣:私もお姉さんから離れたくないよ!
淑女:でも…今日はもうあなたがここを離れる日です…
こういう楽しい日々を失うことを考えたら、悲しくて悲しくて。
淑女:だから、決めたわ!
無剣:お姉さん?
淑女:ずっと昔から、絶情谷の外の空が見たかった。
無剣:ってことは…
淑女:あなたと一緒に谷を出るつもりですわ! 外は全く見知らぬ世界で、見たことがない人もいる、分からないこともある、
少し不安だけど…
淑女:これからあなたが毎日酒に付き合ってくれると思ったら、そんな事大したことないわ。
無剣:本当?やったー!
私が必ずお姉さんを守るから!
淑女:それはご心配しなくても大丈夫ですわ、わたくしは花瓶ではありませんよ。ふふ~
淑女:外の見識がない魍魎たち、クビを洗って待ってろよ、わたくしは必ず…あぁ!
お姉さんは急に言い方を変えた――
淑女:うん…わたくしはだたの弱い女の子ですけど、決してみんなの足手纏いになれない…
無剣:いいですよ、お姉さんは女傑と言うことはもうとっくに分かりました、私の前では隠す必要はありませんよ。
淑女:ええ?無剣、あなたはもう――
無剣:そうよ。それに私はお姉さんの元の姿が一番可愛いと思います。
淑女:そ、そうですか?
淑女:それなら、さっさと出発しましょう!
このお姉さんがあなたを守るので、これからの道は必ず順風満帆ですわ!
無剣:わかった!
お姉さんは自然に私の手を繋いで、 淡い花の香りと鳥のさえずりに伴う、後ろの世間と隔絶している静かな谷から段々離れていく、
見たことがない景色は段々私たちの目の前に現れた。
同盟会話
○○の淑女:それ!えい!はあ!ふう…
○○の淑女:やっぱり刺繍より、酒を飲んで剣を振るうのがわたくしに相応しいわ。
○○の淑女:剣を振るうのは女らしくない?わたくしの剣を見てから言うことね!
○○の淑女:最近、絶情谷は賑やかですね。
○○の淑女:おかげさまで、武功がまた一段と精進しました。
○○の淑女:でも、彼らはみんなわたくしより酒に弱いわ。
○○の淑女:君ちゃんは前より少し大人になったとはいえ、まだまだ心配ですわ。
○○の淑女:わたくしがいない間、君ちゃんはちゃんと自分を大切にしているのかしら。
○○の淑女:ううん…やっぱり心配性が過ぎるかしら?
判詞
二句目 黒服を身に纏い花の如く赤髪が際立ち
三句目 枯れる花をその葉のように嘆き
四句目 月下の龍の如く邪悪を切り捨てる
五句目 美貌が心を遮り苦悶せり
六句目 千杯飲んでも落ち着いて笑える
七句目 豪傑でありながらも淑やかさ欠けず
八句目 共に世間の辛さに立ち向かおう
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